腰痛は大きく分けて3つの痛み方があると思います。
一つは内臓から来る腰痛、二つ目は軟骨や骨の変形から来る腰痛、そして三つめは軟部組織の問題、筋肉の痙攣や
血液の循環が悪くなるなどの痛みです。
内臓からの痛みで考えられるのは、左背部の痛みで膵炎、右腰部で胆石、腰の下の方で腎臓の結石、女性ならば子宮筋腫や、その他は腫瘍など。
内臓からの痛みの場合、夜間痛や継続する痛みがみられる事が多いです。
骨からの痛みは圧迫骨折などです。
三つの中で、当院で一番多い腰痛は筋肉の痙攣や血液の循環からの痛みだと思います(筋筋膜性疼痛症候群)。
筋肉の痛みなら多くは3日から2週間ほどで治まるのですが、来院までに時間がかかったりの慢性疼痛になっていたり、心理的な要因などが加わると治りが数ヶ月以上とかかる事があります。
心理的な要因で多いのは、重たい物を持つ仕事や長時間の座り仕事の方、畑仕事やスポーツをがんばっておられる方で、実際は腰に負荷がかかっているのに、患者様本人が、自分の腰に負荷がかかっているという感覚の無い方にみられます。
原因が無いのに腰が痛い、たいして腰を使っていないなど、何故自分の腰が痛いのかわからないと、頭の中に不安要素が加わります、すると痛みは不安で何倍にも増幅され長期化する傾向があります。
これが、脳の痛み慢性痛です。
打撲や骨折など、原因がハッキリしていて、原因が理解出来る痛みは、頭で理解出来るため、痛みを抑える抑制効果が現れます。
自分は何もしてないのに、腰が痛い。たいして動いてないのに痛い、無理はしていない。
と思っているのですが、実際は畑3時間、仕事4時間、運動2時間、パソコンの前で同じ姿勢を2時間。
痛みが出ている本人は、身体を休めるのは良くない、畑や仕事、スポーツはいつもの事で、こんなことが腰の痛みの原因にはならないと思っている方がとても多いです。
身体を動かす事は大切な事で必要なのですが、毎日このような事を何年も続けていると、いつか筋肉は痙攣を起こし、痛みが現れます。
身体には多少の休養も必要なのです。
湿布やマッサージ、痛みどめは飲んでるけど痛みが治まらない、畑の水やりは辞められない、運動は辞められない。
患者様は「何もしてないのに痛みが治まらない。治療も2週間もしているのに、骨が悪いに違いない。」と考え、レントゲンやMRIを撮り、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されると、「やっぱり、手術しか方法が無い。」と考えてしまうのです。
ヘルニアや脊柱管狭窄症は、腰に痛みが有る無いに関わらずMRIなどの検査をすれば成人の8割の方は持っているというデータもあるぐらいです。
長年かけて出てきた、慢性の腰痛は症状が安定するまで、数か月かかる事もあります。
しかし、血流や筋肉のコワバリから来る腰痛は筋肉の痛みで、この場合は手術をしても手術での傷が一つ増えるだけで、良い効果は現れません。
軟部組織、筋肉や血管から来る腰痛は、筋肉を休ませながら筋肉を柔らかくする治療をして、適度な運動を加えていけば、筋肉の痛みは必ず治まります。
慌てて、手術を考える前に、本当に自分自身が腰を酷使していなかったかを考えてください。
手術をすれば治ると思って手術をしたけど、結局2回、3回と腰の手術を繰り返してから当院に来院される方もおられます。
逆に手術をしないといけないのに手術を怖がり、タイミングを逃している方もおられます。
一度、プロの意見をしっかり聞いて、生活習慣を自分で見直し、保存的な治療をきちんとしてみてください。
手術は最後の手段です。
その腰痛あきらめないでください。
